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第19回ツール・ド・のと400 (2007年9月15〜17日)


プロローグ

3度目の“のと”

 正直なところ言ってしまうと、最初にツール・ド・のと400を走ることを決めた段階では、2回参加したらもうそれで充分かなと思ってました。なぜなら、このテのサイクリングイベントはレースやタイムトライアルではないため、完走することが極端に難しかったりするならともかく、何か目標を持ち続けることが難しいわけです。費用も時間も体力も使うイベントの参加に、何かしらの目標が無いとなかなかやっていけません。
 これはツール・ド・おきなわの本島一周でも同じ。南の島をぐるっと一周駆け抜けるサイクリングは、それなりにどころか非常に楽しいイベントです。でも、あのコースを3回も4回もサイクリングで走りたいかととなると話は別。とくに2日目は那覇空港/名護会場の自走区間ともダブりますから。もちろんレースという別の魅力が目の前にぶら下がってるせいもあるでしょう。実際2回参加した後はレースの方へ切り替えてしまったし、もしレースがなかったら多分、毎年行くということもないでしょう。
 ところが何故か分からないけれど、のとは走り終わった直後でも「よしっ! 来年も来るぞ!」という気持ちにさせてくれます。地元の方々が一丸となって盛り上げようとしている心意気の強さや地域色の濃さがいいのか(これはツール・ド・草津も似た感じ)、ここでしか逢えない人達との交流を楽しめるのがいいのか、とにかくツール・ド・のと400は、自分が参加したことのあるサイクリング系イベントの中ではダントツで楽しいのです。
 それに今年は春の能登半島地震のおかげで、石川県各地はかなりの被害を受けています。なにしろツール・ド・のと400の開催すら危ぶむ声があったくらいですから、地元の方々の苦労はそれはもう大変だったはず。復興への取り組みはまさに現在進行形なわけです。
 そんな中あくまでも遊びで能登に行くというのに若干の抵抗はあるのですが、それでも自分達の頑張りが僅かながらも元気づけとなり、また大会を盛り上げることによってささやかな経済効果への貢献ができるかもと思うと、参加せずにはいられません。
 というわけで今年は自分にとって3回目のツール・ド・のと400。1年おきに訪れる仕事上の多忙の波も、予算面での苦しさも強引に押しのけて、チャンピオンクラスの2泊3日、前後泊も含めると4泊5日の能登への旅に行ってきました。

松任へGo!!

 今年は地震の当たり年なのか、3月の能登半島地震に続き、7月には中越沖地震が新潟を襲い、日本海側はいろいろな形で地震の影響が出ています。で一番困ったのが、列車の運行状況が不透明だったこと。一時はクルマで行くしかないかとも思ったのですが、9月にもなれば上越新幹線と北陸本線・信越本線・北越急行ほくほく線・上越線経由で運行される特急はくたかは問題なく使えそう。なので今年も二子玉川〜金沢の長距離輪行です。

東京駅に入線する2階建て新幹線MAXとき号。今回は自分で切符を買ったので、ちゃんと車輌最後方の席をゲットできた
東京はいつ雨が降り出してもおかしくないような曇天だったが新潟県に入ってからは気持ちのいい青空が広がる。去年もこんな感じだったような…
特急はくたか内ではいつものように売店前通路に自転車を置かせてもらった。こういう時に前輪のみ外す簡単輪行は自転車が薄く収まるので便利


 5時間余りの列車移動を終え金沢駅に降り立つと、お約束のようなドビーカン。手早く自転車を組み立てたら、これまたお約束の記念撮影をして移動準備完了です。
 金沢着は正午という微妙な時刻で、しかも今回は天候にまったく期待していなかったため、自走観光の下調べなど何もせずに来てしまいました。そこで泥縄式に駅前の周辺地図を見てみると、結構近いところに金沢城があるじゃありませんか。とりあえずそこへ向かってみることにしました。
 金沢城の敷地内には自転車で乗り入れることができないので、お手軽に周りをグルッと一周。ミョーにスケールがデカいですなココ。後で調べたところによると、どうやら数年前までは大半の部分が金沢大学のキャンパスとして使われていたらしく、大学の移転に伴っていろいろなものが復元されたそう。まあ、これはこれでいいのかもしれないけれど、個人的にはこじんまりしていても昔のままの姿を残す松本城のような、歴史を感じることのできる史跡を見たかったなァ。
 プチ観光の後は、過去2回の訪問でかなり土地勘や方向感覚がついてきた金沢市内を適当に走り抜け、まずは松任のホテルにチェックイン。重い荷物を部屋に置いたら松任海浜公園の会場まで行って受付けをし、再びホテルへ戻ってゼッケン付け等の翌日の用意を済ませます。そして夜は仲間うちでの前夜祭です。
 クラブ仲間のI藤さん、Y田部さん、O田さんに加え、このイベントが知り合うきっかけとなったK賀さん、Y村さん、それに地元のE理姫を交え、駅前のトンカツ屋さんで行なった前夜祭は、懐かしいやら話が弾むやらで大いに盛り上がりまくり。いいですね、たまにはこういうの。家へ帰るE理姫を見送りホテルに帰ってからも、しばしI藤さんの部屋で宴会状態が続きます。やっぱり能登はこうでなくちゃ。今年も続く3日間、思いきり楽しめそうです。

今年も天気がいいので金沢から自走することに。これまたいつものように駅前で記念撮影。ビミョーに自転車がグレードアップしている
時間が中途半端なので駅から近い金沢城趾のまわりをグルッと一周プチ観光。乗鞍前に見てきた松本城なんかと較べるとやたらスケールがデカい
受付で貰った紙袋に入っていた品々。サドルバッグ、アームカバーに加え、写真に写っていないが蚊除けリストバンドも記念品として入っていた


初日

暑いんですけど…

 前日の段階では曇り中心の予報だった天気だったのに、ホテルの外に出るとやたらいい天気。I藤さん、O田さん、K賀さんと一緒に大きな荷物を背負って会場まで移動する間だけでも、かなり汗をかきます。まあ、2日目以降は雨っぽいので、3日分の太陽を浴びておきましょうかね。最高気温が30℃越えるということで、雨具はもちろんのこと、レッグウォーマー、アームウォーマー、ベストも持たない完全な夏装備で出走です。
 ふとY村さんを見ると、ありゃ、メイドさんジャージじゃありませんか。K賀さんも去年の能登で見初めて購入したというし、身の回りにジワリジワリとメイドさんが浸透してきている感じです。今年はからたろー部長が不参加なのが残念ですね。
 荷物を預け、自転車を並べてのんびりとベンチで和んでいると、E理姫がパオパオジャージで登場。その直後にはスワコレーシングのT口さんの顔も見つけ再会を喜びあいます。いや、前週のなるしまロングランで会ってるんですけどね…(笑)。
 顔を合わせるのはツール・ド・おきなわ以来の閣下もやって来たけど、今年は体調不良らしくやたら顔色が悪そう。大丈夫? 他にもFCYCLEの新ジャージに身を包み4年ぶりに能登へ来たという参加14回目のベテラン、でおすさん、同じくFCYCLEからHiSさん、さとうさん、すがたに/こあき夫妻、カツリーズからスタッフ参加のM田さんなどなど、見知った顔が続々とやってきます。いつの間にか自分も随分と顔が広くなった…のかな。

巨大な収容トラックは見てのとおり自衛隊によるサポート。あまりお世話になりたくないが、こういう心強い後ろ盾があるから安心して走れる
初日のスタート会場に集まる参加者たち。延べ人数とはいえ1000名ほどの大人数が参加するのだから、ロング系イベントとしては国内最大級だ
ほぼ昨年と同じ顔触れの仲間たち。今年はE理姫の会社のS田社長もコルナゴCF1で参加。前列中央はシミズサイクルの社長さん (photo/Y.Osada)


 今年は素早く申し込んだせいかゼッケンは19番と若く、同じく2桁ゼッケンのY田部さんやI藤さん、1桁(!)のE理姫とともに、ほぼ先頭位置でスタート。O田さんやT口さんもうまいこと紛れ込んできました。
 今回なるしまのEeeラン仲間としてはO田さんだけが初参加。4人の中では一番若いし活きはいいしで頑張ってもらわなくては(何を?)ならないのだけれど、本人はすべてが新鮮に感じるのか終始デジカメで写真撮りまくり。結局、3日間で何枚撮ったの? 整理するのもウンザリするくらいの枚数に達しているのではと、他人事ながら心配してしまいます。
 走り始めるとマジで『今年は暑い!!』と感じます。これでは防寒装備などまったく不要。結局、3日間を通して半袖ジャージとメッシュアンダー、短レーパン以外のウェアは一切使わずに済んでしまいました。まあ、自分的には寒いよりは遥かにいいんですけどね。
 ただ、これだけ暑いと水分補給はかなり気を使わないとなりません。前週のなるしまロングランではロングボトル×1で走ったのですが、自分のフレームはサイズが小さいため抜き差しがちょっと面倒で、今回はショートボトル×1(シートチューブ側ボトルケージにはウィンドブレーカーとCO2ボンベとパワージェル入りツール缶装着)で来てしまいました。
 ところがこれが後に大失敗へと繋がってしまいます。来年は荷物の中にもう1本ボトルを入れることを忘れないようにしたいものです。

スタート直後はしばし海岸沿いのサイクリングロードを進む。3桁ゼッケンのT口さん、O田さんもこの時点で前まで上がってきた
最初の休憩ポイント内灘の手前の吊り橋を渡る。スタート直後よりさらに雲は少なくなり抜けるような青空が広がる (photo/Y.Osada)
1日目を上下メイドさんジャージで走るY村さん。シンプルな色使いのわりに結構目立つんですよコレ


姫落車

 今年もコース自体はほぼ例年どおり。松任海浜公園からしばらく海岸沿いのサイクリングロードを走った後は、少しの間、歩道やら街中を抜けます。そして最初の休憩ポイント内灘へ。今年からオーバルトラックでのTTは無くなったようです。
 軽い休憩の後、再び先頭集団で走り出し、次の休憩ポイントはゆで卵の配給でお馴染みの宝達志水。ここでも短時間の休憩を取った後、昼食場所となる志賀CPの能登ロイヤルホテルへと向かいます。
 ところがこの志賀CPへ向かう途中でちょっとしたアクシデントが発生しました。このへんのコースは国道と海沿い分岐路を行ったり来たりしながら進むのですが、海沿いから国道方面へ戻る部分が大抵ちょっとした登り坂になっています。そして1ヶ所、その登りが短いながらもキツいところがあるのです。ギア選択を誤った人がフラつきやすく、ある意味危険ポイントといっていいでしょう。
 私はそれが分かっていたので右寄りのスペースの広い部分を一気に駆け上ってしまったのですが、後方ではやはり左側でスローダウン、行き場の無くなった人が右に追いやられるということがあったようです。「ガシャン、ガシャガシャッ」という嫌な落車音。後ろを振り向くと、のとで顔馴染みになった大阪のSチーム所属の健脚T中さんがあおりを食らって脇の草むらに倒れ込んだ様子。さらにE理姫もその脇で転んで自転車を起こしているところでした。
 すぐに駆け寄ってダメージチェックすると、E理姫は肘を擦りむいているものの軽症。ボトルの水で軽く傷口を洗い流してみると傷は浅い感じです。自転車もバーテープとレバーがちょっと削れた程度で、外れたチェーンを掛け直しただけで問題なく走れそうです。まあ志賀CPが近いので、とりあえずそこまで行ってから身体も含め再チェックすればいいでしょう。
 そんなこんなでちょっと慌てましたが、とりあえず大きな問題はなく昼食会場に到着です。幸いE理姫のダメージは最小限で済んだようで、みんなで腹ごしらえに突入。腹減った〜。
 一日目の昼食場所は、いつものとおり志賀CPとなる能登ロイヤルホテルの裏庭の芝生の上。表から見ると分からないのですが、建物の裏側は地震でダメージを受けた部分にブルーシートが張ってあったりして、改めて被害の大きさを感じさせます。頑張れ、能登半島!!
 昼食メニューはこれもまた定番となっているカレーや牛丼、うどんといったものから好きなものを貰うわけですが、今年はフルーツの類いが無くなっていました。これは他の休憩場所で用意されている補給食にもいえることで、内容的、品目的にビミョーにグレードダウンされています。しかし今回は地震復興イベントの方に参加費の一部が回されていたりするので致し方ないところ。そもそも我々にしても復興応援の意味も込めて参加しているのですから、このくらいは納得できる範疇です。

宝達志水の休憩ポイントでゆで卵の配給を受けテンションが上がり始める面々。しかしこの後ちょっとしたアクシデントが… (photo/Y.Osada)
昼食場所にもなっている志賀CPの能登ロイヤルホテル。写真では分かりにくいが裏に回ると地震の傷跡が結構あり修復中だったりする
日本海に面した場所のそこここで目につく風力発電の風車


第2のアクシデント

 昼食を終えての午後の走行も『ここまで容赦なく照りつけなくてもいいよ』と言いたくなるような陽射しの中、概ね海岸線に沿って北へ進みます。そして最後のチェックポイントとなる門前が近くなってきた頃、第2のアクシデントが発生しました。というか起こしてしまいました。
 門前〜輪島にかけては能登半島地震の被害が甚大だった地域。一部、道路のダメージも残っています。もちろん、そういうところは赤いパイロンが置いてあり、遠くからでも分かるようになっていたので、それなりに気をつけて走れば問題はないはずでした。
 ところが折からの暑さで水の消費量が多く、ショートボトル1本しか持たなかった自分は門前CPまで5kmほどを残すところで水切れ。さすがに頭が朦朧としてきます。おまけに集団走行なのでどうしても前方の視界は悪くなりがち。前方で「うわ〜」と声がしたのまでは認識したのですが、やはり判断が甘く遅れがちになったのか、前の人がスッと横へ移動したと思った直後に目の前に現れたパイロンを避けきれませんでした。
 結果はパイロンを引き摺りながら転倒。まあ、それでも速度は落としていたので倒れた時はほとんど立ちゴケ状態。右ブラケットがやや内側に入り込んだものの、身体の方は擦り傷ひとつなく済み、落ちたチェーンを掛け直すだけで再スタート。周りにいた方々、心配していただいた方々、ご迷惑をおかけしました。
 今回の門前CPは総持寺というお寺の前に設けられていました。何故かというと、老朽化&地震被害からの復旧のため、新しい瓦を1枚ずつ購入してメッセージを書き込むというイベントが用意されていたから。瓦を購入する代金はエントリーフィーから支払われています。
 我々も補給/給水した後は境内へ入り、瓦に応援メッセージを書き込むことにしました。なんか背後からの視線を感じたなと思いながらも書き込み終わって振り返ると、デジタルハンディカムを向けた人が目の前に。『NHKですけど取材させてください』だって。二言三言受け答えしておきました。

昼食後も多少のアップダウンを繰り返しながらひたすら海岸沿いを北上。景色はいいが暑くてあまり目に入らない
E理姫の後ろは今年は全身フランセージュデジュでキメて来た坂フェチのY田さん。彼もここ能登でお知り合いになった方 (photo/Y.Osada)
ボトルが空の状態で飛び込んだ門前CPでは浴びるように水を飲んでなんとか人心地。いや〜、死ぬかと思った (photo/Y.Osada)


円山峠はやっぱりしんどいねぇ

 門前を出発すると、いよいよ本日のメインイベントともいえる円山峠越えです。能登半島の海岸に近い峠なので標高自体は200m強。ようするにけっして距離自体は長くないのですが、この日のコースでは唯一の登りらしい登りです。
 だらだら登る国道をピーク近くまで登った後は、トンネルへ入らずに旧道で峠を越えます。この旧道が木々の間を抜けて羊腸する、ちょっと笹子峠旧道にも似た感じのいい雰囲気の道です。ただ先頭集団は徐々にペースが上がり、旧道に入ったところでアタック状態になるのが常。今年は結構脚のある方も多かったようで、先頭はあっという間に見えなくなってしまいました。速いな〜、みんな。
 登りきったところである程度の人数がまとまるまで待った後は、ちょっと荒れ気味の路面を下って国道に復帰。あとはほぼ下り基調でゴールの輪島までひとっ走りです。もちろん気を抜くわけにはいきませんが、ここまで来ればもう初日完走したも同然。アウターを軽く回すちょい速クルージングで30分も走らないうちに、輪島朝市のゴールゲートを潜りました。
 今回の初日の宿は、道の駅わじまに近い民宿。なるしま4人衆とT口長老、E理姫、S田社長、K賀さん、Y村さんが同宿という大所帯です。こういう時は人数が多いとそれだけでも楽しいですね。しかも風呂に入りジャージを洗濯して夕食場所に行くと、偶然にも2日目のみ参加のZぼんさん一行4名様も同じ宿でした。当然、自転車やイベントの話で盛り上がりまくりです。
 夕食後は宿の女将さんお勧めで、御陣乗太鼓という伝統芸能イベントを見に道の駅までお出かけ。ついでに輪島塗りの箸とスプーンを買って、本当にささやかではありますが経済活性に貢献してきました。

一日目のゴール地点となっている輪島はいかにも京都方面の文化の流入を感じさせる街並がいい雰囲気を出している
夜は宿の近くの道の駅で御陣乗太鼓という和太鼓を打ち鳴らす郷土芸能を披露するイベントが行なわれていたので我々も見学してきた


2日目

当初の予想とは裏腹に薄日が射す空模様で迎えた2日目スタート


風邪ひいたかな…

 去年は雨の中スタートした2日目だったけれど、今回も天気予報はどちらかといえば悲観的。耳に入る情報といえば『たとえ今が大丈夫でも絶対降るぞ』という脅しにも似た言葉ばかりです。実際、スタート前にはちょっとだけ通り雨も降りました。なのでとりあえず薄手のレインウェアだけ背ポケに突っ込んで出走することにしました。
 ちなみに今回は俳優の鶴見辰吾氏が2日目のみ一緒に走るそうで、そのせいかTV取材クルーの姿も目立ちます。Y田部さんはスタート前にススッと隣に寄って親交を深めようとしてるし(笑)。
 そういえば今年もスタート地点で北國新聞の朝刊が無料配布されていたので一部貰いましたが、またまた一面中央の大きな写真に写ってしまいました。この写真が撮影されたのは、前日の富来休憩ポイントから出発するところ。去年は先頭ド真ん中でやたら目立って写ってしまったため、今年はすこし控えめにと少し下がり気味でスタート…したはずでした。
 ところが先頭が出て行くタイミングにカメラマンが追いつかなかったのか、またまた自分がこの写真に登場することに。隣にはE理姫も写ってるし。これじゃ目立ちたがり屋集団と思われても仕方ありませんね。

朝の通り雨で濡れたスタート地点。しかしこの後は急速に天気は快復し、能登島入り口まで雨らしい雨はほどんと降らなかった
やや控えめながら今年も北國新聞の一面中央に写ってしまった。これは初日の富来休憩ポイントからスタートする時の写真で隣はK賀さん
2日目は俳優の鶴見辰吾氏が走った。さり気なく後ろに写っているのは、あちこちのイベントに出没する高級ウェアメーカーA社のD氏


 2日目スタートは去年から場所が変更になったおかげで、直後の街中走行でも極端な信号渋滞に引っかかることもなく順調に市街地を抜け出します。しばらくは海のすぐ脇を走る緩いアップダウンで距離を稼ぎ、目指すは約40km先の木ノ浦CP。ここは直前の登りが結構キツいところです。
 しかしこの日は木ノ浦どころか、そこまでの緩い登りでも妙に身体が重く感じられます。心拍がちょっと上がるだけで苦しいし、なんだか頭も痛い。風邪をひいたみたいです。昨夜、回しっぱなしのエアコンの直下で寝てたのがいけなかったのかも。なんにせよ、あまり無理せず完走するようにしないと。
 結局この日も、降る降るといわれていた雨はほとんど降らず、日中は灼熱の陽射しが照りつけます。昼食場所でテントの日陰に入っても暑いこと暑いこと。自分は比較的暑さには強い方なのですが、体調が今一歩だったこともあってか、後になって考えると暑さがそれなりに体力を削ぎ落としていたようです。

復活した桜峠

 昼食後はツール・ド・のと400の最大の山場ともいえる2つの峠越えが待ち構えます。去年はコース変更でこの区間がショートカットされてしまったのですが、物足りん! という声が多かったようで、今年は目出たくも復活です。
 しかし自分はというと、峠に辿り着く前にすでにかなり体調が悪化。とにかく頭が重く痛いのが辛くて、一時は本気で回収されようかと思ったほど。ちょうど脇にいたE理姫にその旨伝えて少し後方に下がったら、T口長老が心配して様子を見にきてくれました。ご心配おかけして申し訳ありません。

雨はすぐに止み、スタート待ちで整列する頃には路面も乾いた。手前は初出場で元気いっぱいのO田さん、後方の強面(笑)はI藤さん
朝市の出入り口に張られたスタートラインを示す横断幕。まだ雲は多いながらも所々に青空も覗き気温も上昇中
鶴見氏には揃いジャージのサポートが2人ついていたが、仕事関係のスタッフなのかじきに切れていた。左脇はちゃっかり親交を深めるY田部さん


 とりあえずみんなには先に行ってもらうことにし、しばし先頭集団のこぼれ組あたりを適当に走ることに。ところが正直言っちゃうとこのへんは走りにくいです。妙にペースが変動するし、当然あちこちで中切れ状態が発生します。猛然と抜いていった人がすぐに目の前でペースダウンなんてことも。まあ、集団走行に慣れていない方々も多数参加しているサイクリングイベントなので仕方ないのですが、さすがにそんな中にいると身体だけじゃなくて気持ちも疲れてしまいます。そういう意味では程々に脚が揃った先頭集団で走っていた方が遥かに楽です。
 で、そんなことを考えていたら、いつの間にか桜峠の手前の登り区間に辿り着いてしまいました。『え〜い、もうどうにでもなれ』と、そこからはヤケクソのペースアップ。途中でY田部さんとE理姫を抜き、さらに前方にT口長老の姿が見えたのでそれを追うものの、さすがにそこまではなかなか追いつかない。そうこうしているうちに頂上へ到着してしまいました。先着して集団再編成のため待っていたI藤さんやO田さんに『大丈夫?』と心配されます。いや、大丈夫じゃないんですけどね。
 とはいえ、このくらいガッと負荷をかけてやると身体と頭がバカになるらしく、ちょっと朦朧としつつも頭痛は幾分気にならなくなってきます。一度下ってから登り返す桜峠は、その勢いが切れないうちに一気に走りきってなんとかクリア。ここまで来れば、あとは苦しそうなのは能登島のアップダウンのみ。なんとか完走できそうな気がしてきました。

ルーフキャリアにカメラマンを乗せた撮影車が時折先頭に上がってくる。この時点で鶴見氏は前に居ないので媒体が何なのかは不明
珠洲CPでの昼食は折詰めのおかずに加え牛丼orカレーライスorおにぎりを選べる。時間が早かったこともあって分量的には十分以上
左はPBPで1200kmを走ってきた超健脚のI泉さん。I藤さんの後ろは今回体調不良でやたら顔色が悪く精彩を欠いていた閣下


 高速ダウンヒル後の穴水CPでジャムパンの補給を受ける頃になると、さらに頭がバカになったのか、身体の怠さは残るものの頭痛はほとんど感じなくなりました。一方ここでちょっと疲れが出始めたようなのがE理姫。やっぱり昼過ぎまでの暑さは効くよねぇ。
 ということで完調とは言い難い二人はここから、先頭集団後方で離れない、程度のペースで進行。能登島の登りはなるべく自分が引くようにしながら他のメンバーに食らいつきます。身体がキツい一方で、3年目ともなるとコースが分かっているためそれなりにペース配分ができ、結局みんなとほぼ一緒にゴールラインを通過することができました。
 また能登島に入るあたりから少しだけ雨が降り、ツインブリッジ近辺は路面も若干湿り気味になったものの、それでも雨対策を施すほどの降りにはならず仕舞い。昨日に引き続き天気は保ってしまいました。

ひょっこり温泉で生き返った

 ゴール地点となっている能登島マリンパーク海族公園の脇には“ひょっこり温泉”という温泉施設があります。今まで自分は行ったことが無かったのですが、この日ばかりはゴール後に身体を冷やしたくなかったのと、とにかく早くサッパリしたかったので、自転車を預け荷物を受け取った後に速攻で行ってみることにしました。
 素早く汚れを洗い流してから突撃した露天風呂はかなり塩分の強い泉質。陽に焼けた肌をピリピリと刺激しますが、それでも気持ちいいことこのうえないといった感じです。屋内には強力なジェットマッサージ風呂もあり、脚や背中に当てると溜まった疲れもすーっと抜けていくようでした。ココ、なかなかのお勧めです。
 この日の宿は去年泊まった宿の隣。愛想のいい大きなヌコ様がいる宿で、何よりも嬉しかったのは食事場所の部屋が広くてのびのびと食事できたこと。海の幸中心の食事もすごく美味しゅうございました。宿でもう一度風呂に入ろうかとも思ったのですが、体調を考えて風邪薬を貰って一人早めに就寝。みなさん、食事の後も隣の部屋で盛り上がっていたようなので、ちと残念だけど仕方ないですな。

茹だるような暑さの中を走るため休憩ポイントでは冷水や冷茶が大人気。この能登宇出津休憩ポイントを出るといよいよ桜峠への登りが始まる
ブルーベリーソフトでお馴染みの能登桜峠休憩ポイント。このへんで若干雨がパラつくものの弱い霧雨程度で路面はドライのまま
ツインブリッジのとへ向かう先頭集団。能登島へ入ってからのアップダウンが最後の試練となるがゴールはもう目前 (photo/Y.Osada)
2日目ゴール地点の能登島マリンパーク海族公園で大鍋汁にありつくZぼんさんご一行は偶然にも輪島の宿が一緒だった (photo/Y.Osada)


3日目

雲が和らげた朝日がカラス島や嫁島、寺島を照らし、ちょっと幻想的な雰囲気の七尾湾の風景


新コースに驚く

 昨日の体調不良は、風邪薬を貰って早く寝たおかげか概ね復活した模様。気を使ってくださった方々、心配をおかけして申し訳ありませんでした。
 ということで宿で朝食を十分に摂ってから、迎えの巡回バスでスタート地点へ移動です。本日も天気が大崩れする心配はなさそう。昨日は一応簡単な雨具を持って走りましたが、余計な荷物は少ない方がいいので、今日は携帯電話、参加証、補給食のみを背ポケに入れて出走です。
 スタート地点に自転車を並べた後はいつものお約束のように通り雨が降ったり止んだりしますが、スタート前ミーティングの時点ではピタッと止んで薄日も射してきます。ツール・ド・のと参加者の晴れパワーは素晴らしいです。
 いつものオネーサンの「いってらっしゃ〜い」の声を背にスタート。軽いアップダウンの後に能登大橋を渡って能登島を後にします。去年は台風の影響による高波のおかげで富山県へ入らないコース変更が行なわれましたが、今年はそういった心配も無く、順調にR160で佐々波漁港、氷見CPを通過しました。
 その後は能登半島の付け根を横断する形で石川県へと戻るため、一発グワッと登りがあります。そしてピークで地元小学生から冷たい水の補給を受けて人心地ついたら、あとは下って昼食ポイント、のはずが、今年はコース変更でもう2回ほど登りがあるとのこと。まあそれも一興かと指示されたとおりに細い林道のような道に入っていくと…、そこに現れたのはなかなかの激坂でありました。
 それも意外や距離が長い。そろそろ終わりかなと思ってブラインドのカーブを曲がると、さらに勾配がキツくなってまだまだ続くといった具合。これには皆意表をつかれたようで、前を走っていた地元チームの若いオニーチャンなど、いきなりフラついてこっちの前輪にハスってくる始末。「オイオイ、しっかり走ってくれよー」
 ようやくピークを越えたと思ったら、予告どおりに少し下った後でもうひと坂。まさに引き回し状態です。ごく普通の参加者にとっては辛かったでしょうねぇ、アレは。リカンベントの人なんかは“押し必至”だったんじゃないでしょうか。
 何はともあれこの登りをクリアすれば、あとは軽く下って羽咋・神子の里CPで昼食です。

スタート前は雨が降ったり止んだりを繰り返した。3日目の朝は毎年こんな感じの天気だが、不思議とスタート時刻が迫ってくると快復する
「いってらっしゃ〜い」「おかえりなさ〜い」のいつものオネーサン。仕事とはいえ毎年毎年お疲れさまです
2日間を乗り切った後なので最終日のスタートは気分的にかなり楽。S田さんは膝を痛めてしまいリタイヤだったのが残念


午後は向かい風との戦い

 最終日の昼食ポイントから先は基本的にほぼ平地オンリーです。とはいえ楽かどうかは別問題。かほく市のあたりはいつも強烈な向かい風が吹き、参加者の体力を吸い取っていくのが常なのです。
 しかし先頭でゴールしたいと思ったら、この区間を後方で楽して走っていたのでは道義的に顰蹙モノでしょう。しかもE理姫は向かい風は苦手とのこと。そのため昼食後はI藤さんと自分が、指導車の直後のポジションで風避となり、ひたすら後ろを引きます。これが結構キツい。
 去年は台風の強風下ということで、この区間は特別に指導車が4人ついていましたが、今年は通常どおりの2人体制です。なのでその直後とはいえかなりの風圧を受けながら走ることになります。それでもペース自体は先導のジープが30km/h程度に抑えているため、まあ、吐くほどキツいというわけではありません。また毎年一緒に先頭集団で走っている坂フェチY田さんも途中から積極的に引いてくれたので結構助かりました。
 そうこうしているうちに金沢市に入り、最後は初日のコースを逆走する形で松任海浜公園のゴールを目指します。最後の最後でちょっとだけ雨が降ってきたものの、これも路面を濡らすほどではありませんでした。結局、天気は保ってしまいましたよ。
 また今年からゴール前はこれまでと違って、自由広場の周りをグルッと一周してからスタートの時と同じ方向でフィニッシュするようになりました。そのためゴールラインを切る際の体勢を整える余裕も十分。最後はみんなでまとまってゴール!! 今年も無事完走できました。お疲れさま〜。
 ゴール後は荷物を受け取ってから、会場のすぐ脇にある松任海浜温泉で汗を流します。これがまた気持ちいい〜。本来なら入浴後には抽選会などで楽しめる“さよならセレモニー”に突入となるのですが、残念ながら雨のためにキャンセル。これは仕方ありませんね。本編で十分に楽しんだし。
 当日帰る方々を見送ったあとは一旦後泊のホテルにチェックインして一休み。その後、Y田部さんとE理姫とでファミレにて夕食兼ささやかな後夜祭を行ないました。余韻に浸りながら歓談してから、また来年の再会を約束して解散。いや〜、今年も3日間、思う存分楽しみました。
 翌日は朝起きると雨。降りは弱いものの完全な雨。なんかこれも去年と同じパターンだったような。ということで部屋で輪行パッキングした自転車を担いで、すぐそばの松任駅から輪行です。金沢からははくたかで越後湯沢まで出てMAXときで帰京。これにて今年のツール・ド・のと400ツアーは終了です。

序盤は多少のアップダウンはあるものの淡々と進む感じ。しかしこの後、昼食ポイントの手前には今年から採用された激坂区間が
後半の向かい風吹き晒し区間を走りきると二日ぶりの松任海浜公園で感動のゴール。全行程445.5kmお疲れさま
ゴール後にポーズを決めるT口長老、K賀さん、O田さん。このへんの方々はあと100kmやそこらは楽勝で走れそうに元気 (photo/Y.Osada)


能登の余韻と雑感

 去年と同様、今年も事前の天気予報は絶望的ともいえる状況で望んだツール・ド・のと400。でも走りきってみれば結果的に一度も雨具を必要としませんでした。ほとんど奇跡ですね。参加者の天気運の強さには、もう驚くばかりです。
 また能登という地理的な条件のせいか全国から人が集まってくる点、レースではない気楽さと距離の長さによる厳しさの絶妙なバランス、そしてもちろん能登半島の自然に浸れる快感。そういったものが輻輳することで、このツール・ド・のと400は他のイベントとはひと味違った魅力を作り出している気がします。
 今回は能登半島地震から半年ということで、微力ながらも復興の応援をしたいという思いもあったわけですが、実際に能登半島を一周してみるとまだまだ地震の爪痕が深く残っていることを実感しました。個人的にも非常に気に入っている美しき地だけに、一日も早い復興発展を祈るばかりです。
 最後に、今年も素晴らしい大会を提供してくださったスタッフの方々、そして暖かく迎えてくださった地元の方々、有り難うございました。また来年も絶対に参加します!!

きっちりとスタンプで埋め尽くしたチャンピオンコースの参加証。今年も無事完走できて良かった良かった
強風と小雨の降る中で受け取ったためちょっとシワが寄ってしまったけれど、こんな感じの完走証も貰える



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