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Litespeed Tuscany (2006/1-2007/3)


 2005年秋の段階での私が所有する自転車ラインナップは、レースやヒルクライム用にコルナゴC40、ロングランや練習、通勤、街乗り用にルックKG171、冬場の里山MTB遊び用にライトスピードObed-FS、買い物用にダホン・スピードP8という4台体制。これは内容にしても役割分担にしても、自画自賛的とはいえ非常にいい感じにまとまっていたと思います。
 ただそんな満足度の高い自転車環境の中でもただひとつ、ほんの僅かに心に引っかかりがあったのが、KG171のフレームサイズ(シートC-C=510mm)が自分に取っては少しだけ大きいことでした。エルゴポストを限界まで下げないと乗れないカッコ悪さは世間の評判ほど気にしていないのですが、ハンドル位置が充分に下がらないのは常に気にかかっていたこと。結局、今や絶版となったクイルタイプのエルゴステムを苦労して入手し、とりあえずC40と同じポジションを可能にはしました。ところがエルゴステムが思いきり縮こまった格好を見ると、やはりサイズが不適正なんだなと再認識させられます。
こんな箱に入って届けられたタスカニー。発注してから10日で届いた
箱の中身はフレームとイーストン製のフォーク、それにヘッドパーツ
 そんな時に頭をもたげてくるのが、チタンフレームに対する憧れでした。世代的にそうなのか、私にとって「チタン」という名前の響きには何とも言えない魅力があります。C40を購入した時も、デローザのチタニオをオーダーしようとしていながら叶わなかったという経緯があります。
 もちろんC40が自分にとって猫に小判か豚に真珠かというくらい素晴らしいフレームであることは分かってますし、KG171も非常に気に入っている1台です。しかし昨今の右を見ても左を見てもカーボンフレームというロードレーサーの世界を見ていると、所有の2台が2台ともカーボンフレームというのはちょっと面白くありません。そうなるとサイズの合わないKG171をベストサイズのチタンフレームに置き換えたら、ラインナップがさらに完璧になるんじゃないか…なんて気持ちも起きてくるわけです。
 で、もし自分がチタンフレームを買うとしたら、やっぱり狙うのはフルチタンです。フロントフォークはともかく、簡単に交換することのできないバックフレームにカーボンを使っていたのでは、長寿命でかつ優しい乗り味を演出しやすいと言われるチタンを選ぶ価値が半減するような気がするからです。となると思いつくのは、デローザ、モラティ、ライトスピード、マーリン、セヴン、ムーツ、パナソニックあたりでしょうか。
インテグラルヘッドを採用するヘッドまわり。ヘッドパーツはケーンクリークのIS-6がフレームに付属する
シートチューブには素材が3%のアルミと2.5%のヴァナジウムが混じったチタン合金であることを示すデカール
 ただし目的がKG171との入れ替えですから、デローザはちょっとキャラが違うような気がします。だいたい値段が高過ぎです。かといってパナチタンは、以前知り合いに借りて乗った時の印象があまり良くなくて購入意欲が湧きません。モラティはちょっと魅力を感じるブランドなのですが、乗っている人が身の周りにいないため評判が分からず腰が引けてしまいます。そうなると残る有力候補はライトスピード、マーリン、セヴン、ムーツといったアメリカブランド。私的にはチタンでロードレーサーといえば、やっぱりライトスピードです。最近はマーリンもライトスピードが作っているという話も聞きますし、私の場合はMTBもライトスピードなので、ロードも揃えてみるのも悪くない気がします。
 ということでライトスピードについてリサーチを始めたところ、すぐにぶつかったのが値段の壁でした。高価なチタンフレームが欲しいなどとうそぶいておきながら情けない話ですが、じつは型落ちフレームを安く買うというパターンに大きな期待を寄せていました。時期的には本国ですでに06モデルが発売されていましたから、そろそろ05モデルがディスカウントされるのではと踏んだわけでした。ところがそのアテが大外れ。ライトスピードを扱う代理店は、余剰在庫を持たないようかなりしっかりとした在庫管理をしているようで、日本で良く売れるサイズの型落ちが安価放出される可能性は小さいとのことなのです。
 それじゃあ06モデルはどうかというと、比較的なんでも安く買える馴染みのショップでもほとんど定価に近い値段。フォーク込みだと安いモデルでも30万円以上というのでは、おいそれと手を出せません。また値段の問題を抜きにしてもちょっと引っかかるのが、近頃のライトスピードはロゴが黄色くないという点でした。
 私にとってのライトスピードといえば、2002年にロットがジロやツールで使った素材地肌に黄色いロゴのフレーム。その印象が鮮烈です。なのに最近のモデルは、白いロゴだったり黒いロゴだったり縁取りだけだったり。最新の06モデルに至っては赤いロゴなんかもあって、さすがにちょっとしっくりときません。
 また06モデルはそれまで一部モデルで使っていたカーボンバックが廃止されました。それ自体は選択肢が広がることになり個人的に嬉しいのですが、反面、ヴォーテックスやアルティメイトは妙に角張ったチューブが使われるようになっています。これは私の趣味からするとネガティブファクターといっていいでしょう。
対応シートポストはオーバーサイズの31.9mmφなのでカンパニョーロ・コーラスを新調。サドルはKG171から使っているセライタリアのフライト・トランザムを組み合わせる
 しかしさらにいろいろとリサーチを進めていくと、どうやらアメリカのショップの通販なら05モデルがお手頃な値段で買えるらしい、という情報に行き当たりました。05のフルチタンモデルで、かつ個人的な趣味からホリゾンタルフレームでという条件をつけると、該当するのは6AL4Vチタンを使った最高峰グレードのヴォーテックスか、3AL2.5Vながらも値段が手頃なタスカニーということになるのですが、なんとこのショップではヴォーテックスがフォーク込みで$2,250で買えてしまいます。一瞬、C40との入れ替えという構図も脳裏をよぎりました。しかしちょうど私に合うサイズだけが売り切れていたため断念。財布の中身を考えると幸いだったかもしれません。
 一方タスカニーはというと、こちらもフォーク込みで$1,499。しかも私がこだわる黄色いロゴのライトスピードです。ちょっと引っかかったのは、このショップでも他のライトスピードは純正のリアルデザイン製フォークを付属させているのに対し、タスカニーだけイーストンEC90SLXという軽量フォークがセットにされる点。とはいっても$1,500を切るというのは申し分ない価格ですし、EC90SLXにしたって国内で5万円クラスの高級品です。またタスカニーなら性格的にもKG171の役を引き継ぐのに良さそうです。
 一応頭を冷やす意味で2週間ほどよく考えたのですが、結局チタンフレームの誘惑と値段の魅力には勝てず、05タスカニーの51サイズを発注することにしました。日頃お世話になってる神宮のショップにはちょっと申し訳ない気持ちがあるものの、10万円以上の価格差はあまりにも大きいので勘弁してもらいましょう。他の必要パーツは購入しますから。
 発注を入れたのは、世の中が他所の国の宗教行事で盛り上がった余韻の残る12月25日でした。時期が時期なら、海外通販ということで商品の移動距離もかなりのもの。なので発注はしたものの気長に待つ、くらいのつもりで構えることにします。
付属してきたフロントフォークはイーストンのEC90 SLX。エンドも含めフルカーボンの超軽量フォークで、コラム未カット状態の重量が実測294gしかない
 ところがショップの対応は、意外なほどテキパキしたものでした。発注の翌日には注文を受けつけた旨のメールが届き、さらにその翌々日には正式な送料が決定したとの通知が来ました。さらにその翌日の29日には、UPSから貨物情報受領と貨物追跡URL/追跡ナンバーを知らせるメールで届きます。  追跡ナンバーで進行状況を調べてみると、現地時間28日にコロラドスプリングスを出ているとのこと。注文から発送までは正味3日ということになります。今日日のマトモな通販は、このくらい仕事が早くないとダメなんでしょうかね。まあ、利用者にとっては有難いことです。
 発送された荷は29日にコマースシティ→ルイスヴィル、30日にアンカレッジと進み、31日には成田に到着。さすがにここでは正月休みによる足止めがあったものの、年が明けて3日の夜には東京に送られ、4日の午前中に箱詰めされたフレームが無事我が家に届きました。
 じつはもう少し時間がかかるものと予想していたため、この時点ではKG171は何も作業をしていませんでした。そのため4日は慌てて分解作業&パーツのクリーニングをして一日終了。5日にフォークのコラムカットを除く組み立てをなんとかこなし、翌6日にポジション調整とコラムカット。晴れて自転車としてのタスカニーが完成です。
 早速、寒風吹きすさぶ中をシェイクダウンしてみましたが、第一印象は「想像以上に固い」というものでした。同じライトスピードでも、ヴォーテックスがフル6AL4Vチタン、アルティメイトがダウンチューブとシートチューブが6AL4Vチタンでトップチューブとリアが3AL2.5Vチタンなのに対し、タスカニーはすべてのチューブが3AL2.5Vチタン。それゆえ快適性がいい反面、乗り味があまりシャキッとしていなかったら嫌だな、というのが心配の種でした。
 しかしそこはオーバーサイズのヘッドチューブを持つ近頃のフレーム。私程度の脚力では大きく車体を振りながらのダンシングをしても、カチッとした剛性感が感じられます。踏んでいった時の進み具合も、当たり前かもしれませんが、古いKG171とは較べモノにならないくらいスーッと前に出て行きます。ただ路面からの突き上げ感は思っていたより大きくて「カーブドシートステーのチタンフレームといってもこんなモンか」と思った次第でした。
チタンの特性に加えて前後方向にゆるやかに弧を描くカーブドシートステーで衝撃吸収させる設計のおかげで、剛性感が高いわりに高速巡航中の乗り心地はすこぶる良い
 組み上がり直後の週末はいろいろと用事がありロードレーサーに乗れなかったのですが、9日の月曜日は成人の日で休日。クラブランのある日です。もちろんタスカニーを引っ張り出して参加してみました。
 多摩川の日野橋起点で江の島往復というこの日のコースを走ってみると、ちょい乗りシェイクダウンでは分からなかった乗り味が見えてきました。一番驚いたのは衝撃吸収の良さ。低速では強いと思った突き上げ感ですが、30km/hを越えたあたりから急に乗り心地が良くなります。まるで太めのタイヤを低圧で使っているような滑らかな乗り心地で、荒れ気味のアスファルト路面や、マンホールの淵の小さな段差による入力も、フレームがきれいに去なしてしまっているようです。
 C40のようなカーボンフレームは、速度域に関わらず衝撃の角を全部丸めて「ポコン、ポコン」という優しいショックに置き換えてくれるタイプの乗り心地の良さなのですが、タスカニーは入力される力がある程度大きくなると、その衝撃自体をごっそり吸収してしまう、そんな感じ。それでいながら変な撓りは感じさせず、進み具合はシェイクダウン時に感じたとおり踏んだだけ素直に前に出て行きます。ほんの僅かにゴムひもで引っ張られるような加速の伸びがあるのは、よく言われるチタンのバネ感ってやつなんでしょうか。いずれにしても、これなら長距離を走った時の疲れはかなり小さくて済みそうです。
 付属してきたイーストンのEC90SLXは、コラム未カット時の実測で294gという超軽量フォークなので、脚のある人に剛性不足を指摘されたり、ブレーキング時にブレード先端のバイブレーションが出ると言われたりしてますが、私が乗る限りではクラウンまわりがしっかりしているせいか問題無し。たしかにコルナゴのスターカーボンほどの強烈な剛性感はないですが、以前、ビアンキにタイムのエキップ・フェザーライトをつけた時のような弱々しさとは別次元です。軽い分、リアルデザインより良かったかなと思ってます。
 とにかく、私にとっての決戦車はC40であっても主力車はこっち。バリバリ乗って距離を伸ばしていこうと思います。なんたって耐久性が売りのチタンなんですから。

フレームライトスピード タスカニー('05 510mm)
フロントフォークイーストンEC90 SLX
シートポストカンパニョーロ コーラス(31.6mmφ)
ステムITMミレニアム(90mm) デダ ニュートン26(80mm)
ハンドルITMスーパーイタリア260(外外420mmアナトミック) デダ 215アナトミック(420mm)
ヘッドパーツケーンクリークIS-6
レバーカンパニョーロ コーラス エルゴパワーコントロールレバー(9→10速改造)
ブレーキカンパニョーロ コーラス カンパニョーロ レコードDタイプ
ボトムブラケットカンパニョーロ レコード
クランクカンパニョーロ レコード(170mm/52-39T)
フロントディレイラーカンパニョーロ レコード
リアディレイラーカンパニョーロ コーラス(ミドルケージ)
リアスプロケットカンパニョーロ レコード(13-29T)
チェーンカンパニョーロ レコード
ボトルケージエリート イノックス
メーターキャットアイCC-CD100
ホイールカンパニョーロ レコード/マビック オープンプロCD/DT 2.0-1.8
タイヤヴィットリア オープンコルサCX
チューブミシュランA1
サドルセライタリア フライト トランザム
ペダルタイムRXS カーボンTi
バーテープシルバ
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