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MASI 3V Volumetrica (2008/7-2009/2)


オーバーサイズのチューブとはいえ最近の自転車に較べればはるかに細身のパイプで構成されたホリゾンタルのフォルムが美しい
インターナルラグという独自の製法で組まれるため、デダッチャイ製のチューブもやや特殊なものが使われているらしい
カッコ良くてしかも便利なフルオープンのクイルステムが欲しくてデダのミュレックスを装着。しかしミュレクスは90mm以上しかないので後にモドロの80mmに交換した
クランクがレコードなので当然のようにBBもレコードのテーパードスクエア。もちろん規格はイタリアン
名門工房らしいヘッドマーク。唯一メッキ処理されたフォーククラウンの上面にも紋章が彫り込まれている
同モデルでも細部の工作は作られた時期や仕様によって異なるらしい。このフレームのシートステー上端は笹葉仕上げ
前オーナーからシートピラー径は27.0mmと聞いていたため慌てて購入したpmpのチタンピラー。後に27.2mmであることが判明しカンパ・コーラスのチタンに交換した

フルクロモリへの回帰

 通勤や普段乗り用にKG281を使っていると、これが凄くいいフレームなのは分かる。なにしろかつてはグランツールでバリバリの戦闘力を持っていたフレームだ。自分程度の脚でこれで文句を言うなど100年早いと思う。
 ただ一方で、時々その耐久性について不安が過ることもある。たとえば、ほぼ同時期の同じようなフレームに乗っている友人が、ほんの軽微な落車をしただけでクラックが入ったと嘆いた事例は何件か聞く。当然、オークションで手に入れた中古フレームともなれば、過去にどんな落車歴があるかなど知る術がなく、そういう意味ではカーボンフレームは怖い部分も持ち合わせているといっていいだろう。
 通勤で使っていると、そこそこスピードが乗った状態で路面のうねりを乗り越えた際に、明らかにシートステーが撓って入力を吸収しているのが感じられることがる。そんな時、もしここでこの細いカーボンのパイプが折れたら…と考えると、たとえそれが可能性の低い心配であっても精神衛生上あまりよろしくない。
 ようするに何が言いたいのかというと、新車で購入しちゃんと状態を管理できていればカーボンフレームは非常にいい。でも自分程度のズボラな扱いで足として使うなら、やっぱり金属フレームかなぁ、と思うようになってきたわけだ。
 金属フレームの素材は大雑把に分けると、スチール、アルミ、チタンの3種類。チタンはヴォーテックスがあるし、アルミはごく個人的な好みではあるもののロードフレームとしてはあまり趣味じゃない。となれば次に狙いたくなるのは、質のいいクロモリのスチールフレーム。もちろんフォークもクロモリなら安心感も含めて申し分ないところだ。
 クロモリフレームで乗ってみたいものとしては、筆頭に上げられるのがコルナゴのマスターXライトだ。コルナゴは自分でもC40に乗っていたし、他人の自転車を試乗させてもらった範囲でも乗り味に文句はない。またクロモリ製ストレートフォークのプレシサフォークはかねてから高い評判を聞いているだけに、是非とも乗ってみたいと思う。
 しかし最近はコルナゴらしい派手なグラフィクの塗装のモデルがないのが寂しいところ。できれば01〜02年あたりのエアブラシで塗装されたものが欲しいのだが、そのあたりのデッドストック品や程度のいい中古品で、なおかつ自分にサイズの合うものにはなかなかお目にかかれないのが残念だ。
 コルナゴ以外となるとデローザのネオプリマート、チネリのスーパーコルサあたりも高級クロモリフレームの定番中の定番といっていい。しかし何故かこのへんは自分の心がときめかない。不思議だ…。多分、自分は定番とはちょっと違ったものが好きなのかもしれない。
 そんな感じで良さげなクロモリフレームを物色していたところ、オークションでMASIの3V Volumetricaの小さめサイズのフレームの売りが目に止まった。MASIは流通量が少ないこともあってとくに候補は入っていなかったが、ロッソフェラーリ、いわゆるフェラーリレッドで塗られた姿がじつに美しい。それにオーバーサイズチューブをラグ接するために採り入れられた独自のインターナルラグ工法は、ちょっと変わった物好きの自分の心に強く訴えかけてきた。
 そういえばMASIといえば自転車のハードウェアに造詣の深いFCYCLEのSさんが乗っているブランドでもある。MASI自体はアメリカに暖簾分けしたり、その暖簾分けした会社が買収されてしまい、本家のフレームがアメリカではMASIの名前で売れない等々いろいろあるようだが、イタリアの工房自体は今でも元気なようだ。もちろん出品されていたのはそのイタリアで作られた本家お手製。しかも中古とはいえ新車に近いコンディションだった。これは見逃す手はない。
 ということですかさず落札。アメリカ製MASIを日本の代理店が扱い始める前で知名度が低かったせいもあってか、思ったよりも安価に手に入れることができた。
 組み上げるのに使用するコンポはもちろんカンパ。それもこの日のために暖めておいたといってもいい、カーボンパーツを一切使わないレコード/コーラスのミックスとした。ホイールも旧シャマルを組み合わせたので、自画自賛的ではあるが結構いい雰囲気に仕上がったのではないかと思う。
 乗り心地はリムの硬い旧シャマルを履かせてもなお優しいクロモリらしいもの。実際、これでブルベ300kmを走ってみたが、腕、肩、背筋などにかかる負担は非常に小さかった。
 反面、進み具合に関して言ってしまうと、このフレームは少々柔らかすぎると感じた。下りの後に続く10%程の上りで速度を殺さないようにアウターでトルクをかけていったりすると、明らかにリア三角が踏み込みに対して大きく撓む。最初はリアタイヤがパンクしたかと思ったほどで、妙にボヨンボヨンした進み方をする。多分、軽さを優先したチューブ選択で制作されたのだろう。
 そうはいってもこのフレームは結構お気に入りだった。それにこのくらい性格がはっきりしていると、ヴォーテックスとの使い分けも明確になる。したがってヴォーテックスと同様に長くつき合っていける自転車が手に入ったと思ったものだった。
 ところが一時期身の回りの事情から自転車の台数を整理せざるを得ない羽目に。そうなると使用範囲の広さからヴォーテックスを残すこととなり、結果、MASIは8ヶ月という短期間で泣く泣く手放すことになってしまった。Gaapもそうだが、今でも手元に残せなかったのが残念な一台といえる。

フレームMASI 3V Volmetrica(C-C 490mm)
フロントフォークMASI クロモリ
シートポストpmpチタン(27.0mmφ) カンパニョーロ コーラス チタン(27.2mmφ)
ステムデダ ミュレックス(90mm) モドロ(80mm)
ハンドルデダ 215アナトミック(420mm)
ヘッドパーツカンパニョーロ コーラス
レバーカンパニョーロ コーラス エルゴパワーコントロールレバー
ブレーキカンパニョーロ レコードDタイプ
ボトムブラケットカンパニョーロ レコード
クランクカンパニョーロ レコード(170mm 52/39T)
フロントディレイラーカンパニョーロ レコード
リアディレイラーカンパニョーロ コーラス
リアスプロケットカンパニョーロ コーラス(13-29T) ケンタウル(13-26T)
チェーンカンパニョーロ レコード
ボトルケージOGK エリート イノックス
ホイール1カンパニョーロ シャマル
ホイール2カンパニョーロ レコード/マビック オープンプロCD/DT 2.0-1.8
サドルセライタリア フライト トランザム
ペダルタイムRXSカーボンTi クランクブラザース エッグビーター トリプルチタン ショートスピンドル
バーテープデダ
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