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ガープ用フロントブレーキアダプタ制作依頼 (2006/10-)

ディスクブレーキは使いたくない

 クワハラ・ガープは単一フレームに対していろいろなパーツアセンブルを施すことで、ロードレーサー的モデルからMTB的ストリートモデル、DHマシン、ツーリング車と、いろいろなバリエーションを作り出しています。そしてブレーキに関する限り最もポピュラーな手法として用いられているのが、ディスクブレーキの装着。制動力や汎用性を考えると、それはたしかに合理的なやり方といっていいでしょう。
 ただ私個人の趣味からすれば、マディな路面を走るのでなければディスクブレーキは使いたくありません。とくに輪行をする可能性が高い自転車の場合は、トラブルフリーを重視する意味からリムブレーキを使いたいところです。
 ところがガープのフレームにはVブレーキ台座がありません。正規モデルでディスクブレーキを使用していない唯一のモデル「ウィンド」にしても、ロードレーサー用のサイドプルブレーキを使用しているので仕方ないところです。となるとディスクブレーキを使わないとしたらウィンドと同じように、20インチWO規格のホイールとロードレーサー用のサイドプルブレーキを組み合わせることになるわけですが、ここでひとつ問題が生じます。
 リアはチェーンステーにサイドプルブレーキを装着する台座があるからいいのですが、フロントに20インチ対応のリムブレーキを装着するには何らかの工夫が必要になります。今回の私の場合は、可能な限り手持ちパーツで、かつなるべく軽量に組み上げることを目指しているため、フロントフォークはAMP F3を使うことを前提にしています。これには26インチ用のVブレーキ台座とAMP純正ディスクブレーキ用台座はついているものの、そのままではサイドプルブレーキを使うことは出来ません。というか、そもそも20インチ専用のフロントフォークを使わない限りは、素直にサイドプルブレーキを装着することは不可能です。
 そこで参考にしたのが前出のガープのロードモデル「ウィンド」でした。ウィンドの初期モデルはVブレーキ台座にアルミ削り出しと思われるアダプタを装着してロードレーサー用サイドプルブレーキを装着しています。ならばこのアダプタが入手できれば…と思いましたが、宿野輪天堂やクワハラに問い合わせてもすでにパーツの在庫は無いとのこと。しかも後からよくよく写真を見てみると、ウィンド初期モデルのフォークは26インチ用ではないようです。
私が描いたのはこんな感じの図面モドキのイラスト1枚のみ。しかも紙に手書きしたものをデジカメ撮影という、ハイテクとは程遠い依頼書なのだから引き受ける方も大変そう
上が依頼書に忠実にモデリングしてもらったデータで、材料をAL-2024で作ると220g。下が贅肉を削ぎ落としてもらった結果。重量が110gと半減しているうえに、どう見てもこっちの方がカッコいい

プロの仕事は偉大だ

 となるとアダプタは自作するしかありません。自作といっても、このくらいのパーツになると自分で手作業で削り出すのは不可能に近く、プロに制作を依頼するしかありません。幸い自転車乗りの友人のひとりに機械加工を本職としているYさんという方がいます。しかも彼は自分の工場を持っていますから、言ってみれば注文はつけ放題、というのは冗談にしても、まったく自転車のことが分からないところに頼むよりは、はるかに話がしやすいし信頼もできます。これは実にラッキーなことです(向こうにとってはアンラッキーかも)。
 早速、制作を依頼できるか打診してみると、かなり仕事が忙しいらしいにも関わらず引き受けてもらえそうな雰囲気。有り難い話です。ただこちらも経験がないので、実際にどのようにして依頼したらいいのか分かりません。その旨も伝えると、「簡単なイラストでどんな感じのものを作ればいいのか教えてくれれば、寸法や形状はその都度考えながら決めていきましょう」とのこと。ますます有り難い話です。
 とはいえあまりにも漠然とした依頼では申し訳ないので、ノギス片手に重要部分の寸法だけは必死に計測。ふと気がつけばMac用のドロー系ツールが何も無かったので、図面風のイラストを手書きしてデジカメで撮影し(笑)メールで送ります。なんとアナログ的なことか。
 この失笑モノの図面モドキを送った次の日、Yさんから返信がありました。添付ファイルを開いてみてビックリ。3D-CADでモデリングされたデータと、応力解析のデータまでが入ってました。さすがプロフェッショナルの仕事。こんなチンケな依頼では気が引けてしまうほどです。それでも頼みますけどね。
 で、実際にモデリングしてみた結果としては、このままAL-2024(超ジュラルミン)で作成すると余剰強度があり過ぎだそうで、重量も220gほどと自転車パーツとしては重量級。だったら形状はお任せで適当に贅肉を削ぎ落としてもらい、ついでに細部の寸法修正もしてもらうことにしたら、第2弾として送られてきたデータでは重量110gまでシェイプアップ。これでも強度的には十分余裕があるそうなので、問題なければ基本的にはこのまま実際の作成を開始してもらっても良さそうです。
 ただ装着相手が、寸法精度がどこまでアテになるか分からないうえ、きちんと平行が出ているなど期待しにくいVブレーキ台座。作ってもらったはいいけれど入らなかった、じゃシャレになりません。そこで作成段階ではVブレーキ台座につく部分の穴を1〜2mmのマージンをとった横方向の長穴にできないかどうか尋ねたところ、サイズ的に結構キツいものがあるとのこと。かといって穴のサイズそのものを大きめにしてしまうのは場所が場所だけにちょっと抵抗があります。
 そこで最終的には現物合わせを行なうということで、AMP F3フォークを送って合わせてもらうことにしました。そもそもの寸法測定が自分のノギスによる計測ですから、一度ちゃんとプロに測り直してもらった方がいいでしょう。
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