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今回はとりあえずの10速化を行なった前回と違い、フロント側のメカまでバラすので、まずはレバーを外します。
作業は大モンキーにウレタンパッドを敷いてから、グリップラバーを外したエルゴパワーを載せるところから。本当は専用のポンチ等があるのですが滅多にやることではないので、4mmのボルトで代用。レバーシャフトの頭に当ててハンマーで軽く叩いて、シャフトを抜きます。
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レバーを外した図。シャフトはブラケット自体がかしめているのではなく、レバー側に取りつけられた樹脂製スリーブ内壁の出っ張りが、シャフト中央部の溝に嵌り込んで位置決めをする構造になっています。
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次に裏蓋を外しますが、これは軽く嵌り込んでるだけなので簡単に抜けます。
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メカ中央部に見えるボルトが、エルゴパワーの変速メカを固定しているボルト。これ1本を3mmアーレンキーで外すだけで、基本部分はバラバラになります。やたらネジを使う日本の設計とは対照的な、欧米の設計によく見られる特徴といっていいでしょう。フロント側にも5mmの六角穴があるので、アーレンキーで押さえておくと作業しやすいです。
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全パーツを並べてみたところ。機能のわりに非常にシンプルです。写真では組むパーツを並べてしまいましたが、今回はレバーのすぐ右側にある、シフトレバーのリターンスプリングが折れていました。
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上が今回ついでに交換することにした、シフトレバーの動作ピッチを決めるラチェットホイール。下がすで交換済みのインデクシングラチェットで、ワイヤーの巻き取りピッチはこちらで決まります。いずれも右が9速用、左が10速用。
10速用のインデクシングラチェットの色が違うのは、05モデル用から表面処理が変わったからで、これによりシフトフィールが若干スムーズになっているらしい。レコード用はさらに軽量化のための穴が開いてます。
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レコードとコーラスだけは回転部を2個のボールベアリングで支持。このへんが上級グレードメカの証しです(笑)。ちなみにブラケット本体もレコードとコーラスは樹脂にカーボンファイバーを混入したものを使ってます。話は戻ってベアリング装着。間にスペーサーを挟み込む形で、前後からベアリングを嵌め込みます。
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ラチェットホイールを組みつけたシフトレバーに黒くて薄いワッシャとアルミ製シャフトを取りつけ、フロント側からブラケットに組み込みます。さらに新品のリターンスプリングを装着するのですが、フック状になった端がシフトレバー上端の小さなアーチに引っかかり、真っ直ぐな方が写真右側のようにブラケット本体の溝に嵌ります。それほど強いテンションがかかる部分じゃないので、小さなトライバーやラジオペンチ等でちょっとコジれば入ります。
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これはレバー側に残っていた折れたスプリング。片割れはどこかで脱落してしまったようです。
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次にリア側の組み立てに移ります。まずはインデクシングスプリングをアルミ製のキャリアに組みつけます。アルミ製キャリアは割れやすいので注意が必要です。使い込んだエルゴパワーだと、これにクラックが入っていることもあります。もしダメージが見つかったら要交換です。
またインデクシングスプリングも、折れや摩耗をチェックしておきます。これがある程度ヘタっていた方が、いわゆる“馴染み”の出た操作フィーリングになるのですが、逆に新品に交換するとレバー自体を新品にしたようなカチッとした操作感になります。
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インデクシングスプリングとキャリアはこんな感じで後ろ側からセット。グリスをたっぷり使って、スプリングが動いたり抜けたりしないようにしておくと作業が楽です。さらに99以降の右エルゴでは、薄いスチール製のプレートをセット。
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インデクシングラチェットの前側にはワッシャが1枚入るのですが、これはインデクシングラチェットの窪みにグリスで貼りつけておくと吉。
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後ろ側からインデクシングラチェットを組み込むとこんな感じ。フロント側のアルミシャフトときちんと噛み合わせておきます。写真ではそうなっていませんが、この時点でインデクシングラチェットをローギア側に回しておくと、後々の作業が楽かもしれません。
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解除レバー用のリターンスプリングを組み込みます。このときインデクシングラチェットの穴から外側に飛び出す長い方の足が、ブラケットの穴にちゃんと嵌るようにするのが重要です。
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ここが慣れないと一番苦しむ解除レバーの取りつけ。解除レバーの穴にリターンスプリングの短い足を差し込み、そこから偏心させるようにセンターを合わせていくのがコツです。
解除レバーがうまく嵌ったら、スプリング反力で飛び出してこないよう指で抑えながら、ワッシャーとアルミ製ストッパーを組みつけ、これもフロント側シャフトとちゃんと噛み合わせておきます。フロント側シャフトが前に抜けないよう抑えながら、大きなマイナスドライバー等でアルミ製ストッパーを回して噛み合いを探るのがいいでしょう。
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さらに巻き取りスプリング、バックプレートを取りつけたら、最後にボルトで締め付ければメカ部分の組み立ては完了です。慣れないうちはスプリング反力とシャフトの軸方向の動きを抑え込むのがちょっと大変ですが、何度か失敗を繰り返せばコツが掴める作業です。
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あとは裏蓋とレバーを取りつけ、グリップラバーを被せれば完成。これでまたしばらくは、現役パーツとしてバリバリに活躍してもらえそうです。
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