やっぱりGaap昨年末に買ったブルーノのミニベロ20ロードは想像以上にいい自転車で、街中のちょい乗りのみに留まらず、片道30km強の通勤に使っても全然不満が出なかった。もちろん走行性能を突き詰めてロードレーサーと比較するようなものではないが、自分の使用形態や目的に対してほぼパーフェクトに対応してくれたし、何よりも適度な剛性感としなやかさを兼ね備えたクロモリフレームらしい乗り味は、走っていてすごく気持ちが良かった。しかしそういったブルーノに対する満足感とはまったく別の部分で、どうしても心のモヤモヤが晴れないのがGaapを手放してしまったことに対する無念さ。自転車のハードウェアとしての魅力もさることながら、Gaapはオーナーズクラブの人達の生活に自転車を絡める楽しみ方というか、いわゆる文化が非常にいい感じなのだ。だからブルーノという良く出来た“小径車”に乗っていても、ついついGaapのことを思い出してしまう。理屈抜きで「欲しい」と思わせる魅力がGaapとその周りにはあるのだ。 とはいっても「じゃあ買うか」と思ったところで簡単に手に入るわけじゃない。生産中止になってから2年を過ぎているから基本的に新車は無いのだ。中古相場も調べてもおいそれと手が出るような値段では取引されていないし、だいたい球数自体が非常に少ない。 新車在庫発見それでも諦め悪く、折りを見てはオークションやショップの情報のチェックは続けていたところ、ある日、関西の某ショップのウェブページでGaapの新車在庫有りの文字が目に飛び込んできた。しかもそのショップの開店ン十周年記念記念特価ということで、かなりディスカウントされている(在庫処分とも言うけど)。中古に高値の投資となれば「現状ブルーノがあるんだから…」という自制心も働いたが、この時期に新車のデッドストックが中古と同等の価格であると知ったら、そんな箍は簡単に外れてしまった(笑)。ウェブページ広告によると在庫はクロスが1台とライトSが3台の計4台。もっともその記事が掲載されたのはすでに半年ほど前なので、時既に遅しの可能性はかなり高い。しかし何はともあれショップに電話で問い合わせしてみると、ライトSが1台まだあるという回答が返ってきた。 ライトSはGaapの中でもちょっと変わったモデルで、女性など身長の低い人でも跨がりやすいように、本来は20インチのホイールを18インチにサイズダウンしてスタンドオーバーハイトを下げている。自分の使い方だとやはり20インチホイールで運用したいから、そうなるとホイール代を上乗せ計上しないといけないのが痛い。 しかし仮にノーマル状態が20インチだったとしても、標準装着ホイールのハブ等のクォリティはけっして高くはないのだから、いずれホイールを交換したくなるのは目に見えてる。だったらライトSだろうがクロスだろうが同じかもしれない。他のパーツにしたってどうせノーマルはほとんど使わないのだ。 「だったらこのライトSを買ってしまおう!」 と結論を出すまでにそう時間はかからなかった…が、落とし穴は思わぬところにあった。件のショップは「対面販売が前提なので通販はしていない」だって…。ちょうど仕事のスケジュールが詰まっている時期でもあったから、さすがに関西まで自転車の買い出しに行くのは少しばかりハードルが高い。結局縁がなかったのかと、思わずTwitterでボヤいてしまった。 縁はあった!ところがそのつぶやきを見てくれたのがGaapオーナーズクラブのGさん。頂いたコメントが「Sさんだったら地元がそのショップの近くだから動いてくれるんじゃない?」。SさんはGaapで一緒にチームを組んで耐久レースに出たこともある、そもそも関西出身の方。一時期転勤で東京方面に来ていて、その時に交流があった。しかもよくよく聞いてみるとそのSさんの家はそのショップの近所と言っていい場所らしい。そんなこんなで多少の打ち合わせの上、Sさんに私の代理という形でショップに行って購入手続きをしてもらうことに。ちなみに販売は対面が原則だが発送はしてくれるとのことなので、そのまま箱詰め&発送となった。多分日本中探しても最後の1台なんじゃないかと思われる新車のGaapを無事ゲットすることができた。GさんとSさんには大感謝だ!! そして数日後、大きな箱に入ったGaapライトSが我家に届いた。早速組み立ててみると、ダークシアンというちょっとくすんだ感じの水色のフレームカラーに白いリムの組み合わせがなかなか新鮮。ホイールが18インチだったり妙に肩下の長いフロントフォークがついていたり、そして何よりも高い位置のフラットバーというのが、先代のGaapとは随分と違った印象を与えるが、何はともあれ再びGaapオーナーに戻ることができた。嬉しい! まずはブルホーンからブツが確保できたら、あとは例によって自分色に染めていく作業の開始。安物のMTB系コンポは速攻でカンパのロード系コンポに置換え、ハンドルもオーソドックスなフォルムのブルホーンバーに交換。シフターはとりあえずブルーノ同様、ステム脇にマウンターを取りつけてダブルレバーとしてみた。また18インチホイールはやはり多少の違和感が残るので、アメクラのMTBディスクハブと定番リムのDA16で20インチホイールを作って履き替えた。ところが実走してみるとどうもハンドルまわりだけがしっくり来ない。それじゃあ前々から興味のあったアレをやってみましょうか、ということでハンドルをVisionのTTベースバーに変更することに。フラット部分が超扁平で、グリップ部のパイプが後ろに飛び出した、まさにトンガったフォルムのこのハンドル、見た目はとにかくカッコいい。 で、そこまでしたらエアロバーもつけてシフターはバーコンにしてTTマシン仕様に…と突進したい気にもなるのだが、はたしてそんなものを公道上の一般走行で使いこなせるのかどうかとなると、今イチ自信が持てない。なのでとりあえずの安全策として、クランプタイプのTTブレーキレバーとバーコンをベースバーのバーエンドに装着。中途半端と言われれば返す言葉が無いけれど、とにかくそんな感じで組み上げてまたまた実走してみることにした。 が、結果はボツ。ケチって高価なカーボン製の軽量バーにしなかったのも原因のひとつかもしれないが、テンコ盛りに盛ったハンドルまわりがとにかく重い印象だった。そのためハンドリングの軽快感が損なわれるし、しかもエアロバーをしっかり持てるシチュエーションなんてガラ空きのサイクリングロードくらいなもの。これじゃデメリットの方がはるかに多いと、結局エアロバーは2日で取り外されることとなった。 気がつけば…その後も気になった部分には少しずつ手を加えていった。シフトメイトを使ってカンパのメカと同調させていたシマノの9速スプロケットを、GIANG MARSというシマノHGフリー対応のカンパ10速互換スプロケットに交換したり、肩下の長い純正のカインドショック製フロントフォークを、SRサンツアーのスイングショックに交換したりして、徐々に熟成度をアップしたつもり。そして9月にはG.O.C.の方々と一緒に淡路島ロングライドを走ったところで、なんとなく自分的にブルホーン仕様は一区切りついたかなという感じになった。そんなわけで現在のGaapのハンドルはライスピと同じドロップハンドルのデダ215。ここ数ヶ月の間でブルホーンに関してはいろいろなトライをしてみたものの、結局、何の苦労も無く手元変速ができてポジションの自由度も高いドロップハンドルは、オンロード仕様としては鉄板だと再認識することになった。しかも気がついてみるとこの2代目Gaap、フロントフォークやらブレーキ形式やら形は若干違えど、大筋では先代Gaapにかなり似た方向性になってしまったような。発想が貧困なのかなァ…。 オフロード仕様も見据えてこの段階でオンロード仕様としてはほぼ完成形となった感があるが、次に考えなければならないのは王滝に向けたオフロード仕様のパーツ構成。そして一番の問題は駆動系をどうするかだ。正攻法としてはクランク、前後ディレイラー、シフターをMTB用トリプルにするのが手っ取り早いのだろう。しかしそうするとオンロード仕様とオフロード仕様を組み替える際に交換するパーツが多く、結構面倒そうだ。ギア比の面から効率を重視すると、クランクをロード用トリプルにするというのも悪くない。ホイールが小径な分、ローギア側のオーバーオールレシオは26インチMTBとほぼ同じになるし、アウターは52Tや53Tにできるからロード仕様でのトップ側レシオもまずまず。ただ現状ではカンパのロード用トリプルのパーツを揃えるコストが馬鹿にならないのが難点で、現実的かと言われればちょっと微妙ではある。 そこで妥協案的な色合いが濃いながらも現実的なのが、クランクをロード用コンパクトにする方法だ。チェーンリングを50/34Tにすれば、リアにもローが34TのMTB用スプロケットを入れることで1:1のギア比が得られる。ホイールが小径なことを考慮すれば、これは26インチMTBで22×32Tに近いオーバーオールレシオだ。しかもRDをミドルケイジにすればクランク、チェーン、RDの変更無しにロード仕様とMTB仕様の組み替えが可能。これは美味しい。 もちろんアウターが小さくなる分トップギアは若干遅くなる。しかし小径車で50km/hオーバーで走ることなどまず無いだろうから、目を瞑れる範囲といっていいだろう。 そんな計算からクランクをUTのコーラスCTに、RDをケンタウルのミドルケイジへと組み替えた。これでオールマイティ度合いはグッと向上したはずだ。 そして王滝そんなわけでまずは2013年9月のS.D.A.王滝を目標に、フロントフォークをロックショックスのREBAに、ハンドルをフラットバーに、スプロケットを11-36Tのワイドレンジに交換。さらにタイヤもタイオガのBMX用オフロードタイヤに履き替えることでオフロード仕様へと大変身させ、林道試走も行なって準備を整えた。が、この時は仕事のスケジュールという思わぬ伏兵のせいでDNS。残念…。そこで次に目指すは翌年5月の同大会。再び42kmにエントリーして準備を進め、今度は仕事の調整もバッチリ。いよいよ初のオフロードイベント出走となった。 事前の林道試走である程度の手応えは感じていただが、本番でもGaapは想像以上に良く走ってくれた。もちろん20インチという小径ホイールはガレた路面ではハンデになる。加えて練習不足で最後の登りでは脚が攣りまくったこともあり、成績としてはあまりいいところを見せることは出来なかった。結果は42km出走者中で真ん中ちょい下くらい。 しかし長めのホイールベースとフルサスのおかげでか、下りは意外なほど安心してハイペースで走ることができた。正直なところ、ダブトラ下るならリンスキーよりGaapの方が楽なのでは?…と感じたほどだ。とにかくダートの下りをこんなに楽しく走れたのは初めての経験。基本設計がMTBのGaapはオフロードも結構得意な自転車なのだ。 さらに100kmそして42km完走に気を良くして次の9月では100kmにエントリー。42kmの時に感じたギア比不足を解消するためにドライブトレーンはリンスキーに組んでいたMTB用メカを移植し、ついでにブレーキもリンスキーのマグラ・マルタに。フロントフェンダーやフロントバッグも装着してより実践的なアセンブルとした。で、道具についてはできる範囲で万全を期して出場した結果はというと、なんとか足切りに引っかからなかったといった感じの8時間48分22秒での完走。今回もGaapはよく走ってくれたけど、もうちょっと脚も鍛えておかないとねー。 クラック!王滝100kmもとりあえず完走したことで「1台でオンロードもオフロードも楽しめる小径車」という目標もとりあえず達成。ただそれをやるには、大掛かりなパーツ換装が必須となるため、まあ、正直なところその面倒臭さもたっぷりと味わった。だったらもう1台あれば…と欲が出るあたりが人間の業の深さ(笑)。で、2015年にはオーナーズクラブのMさんからGaap Liteのフレームを1本譲り受け、最終的にそちらはフロントフォークにキャノンデールのレフティを装着するなど、かなり本格的にオフロード仕様を意識して建造することになった。 そうなるとこのLite Sの方はオンロード仕様で固定的に運用できるため、通常は通勤車として使い、時々ブルベ等で長距離も走るといった使い分けをすることになる。そして2016年にはオーナーズクラブのメンバーと共に筑波の9時間耐久レースに出場。さらに2018年にはマウンテンサイクリングin乗鞍にも出走した。 こうしたレースの場合は、軽量化とロス軽減を狙いフロントフォークをカーボンフォークに替え、リアサスも通常よりかなりエア圧を高い状態にするのが常。ただ、そうしたセッティングは当然のようにフレームに対するストレスを大きくするわけで、その結果がついに乗鞍の後で発覚した。Gaapのフレームウィークポイントともいえる、シートチューブ取り付けステーが装着されるメインフレーム後方の溶接部にクラックが入り始めていた!! 仕方ないのでフレーム単体までバラしてから、職場の同僚に紹介してもらったレーシングカー工房で補強溶接をしてもらいクラック場所を修理。当然、塗装は焼けてしまうのでやり直しになるが、再びクラックが発生した場合に発見しやすいよう、あえて塗装はせずサンドブラストとカラーアルマイトで仕上げてみた。フレームデカールはまだ旧タイプがクワハラに残っているとのことだったので、グレーのやつを取り寄せ貼り付けた。 再びオフロード仕様にこうして何とか復活させることができたGaapは、再びampフォークやハブダイナモを装着して通勤車として使うことになった。しかし2020年になってひょんなことからポケロケ購入計画が発動。そうなるとオンロード仕様の小径車というキャラの被る2台があるのも無駄なので、だったらGaapは本来の形でもあるMTBに戻しますかね、ということで、2014年王滝42km仕様をちょっとアレンジしたような内容のMTBへと組み替えられることになった。いやぁ、しかしこのGaap Lite S、いろいろと組み替えを楽しみながら、本当にいい遊び道具になってくれている。もうじき10年になるけれど、もっともっと付き合っていきたい。 |
FRAME | KUWAHARA Gaap Lite S (11th lot/DarkCyan) |
FORK | |
REAR SUS UNIT | |
HEADSET | |
SEAT POST | |
HANDLE STEM | |
HANDLE BAR | |
BAR TAPE | |
BRAKE | |
BRAKE LEVER / SHIFTER | |
BRAKE ROTOR | |
CRANK | |
BOTTOM BRACKET | |
FRONT DERAILLEUR | |
REAR DERAILLEUR | |
SPROCKET | |
CHAIN | Campagnolo Record 10s |
WHEEL | |
TIRE | |
SADDLE | |
PEDAL |
FRAME | KUWAHARA Gaap Lite S (11th lot/DarkCyan) |
FORK | |
REAR SUS UNIT | |
HEADSET | |
SEAT POST | |
HANDLE STEM | |
HANDLE BAR | Crankbrothers Cobalt3 |
BRAKE | |
BRAKE LEVER | |
BRAKE ROTOR | |
SHIFTER | |
CRANK | |
BOTTOM BRACKET | |
FRONT DERAILLEUR | |
REAR DERAILLEUR | |
SPROCKET | |
CHAIN | |
WHEEL | |
TIRE | Tioga Comp III(20x2.125) or Panasonic Pacera(20x1.50) |
SADDLE | |
PEDAL |